タカラバイオは滋賀県草津市の本社敷地内に新工場棟を建設するタカラバイオは新型コロナウイルスワクチンなどバイオ医薬品の受託生産を強化する。滋賀県草津市の本社敷地内に新工場棟を建設し、足元で新型コロナワクチン換算で年間約1200万回分の生産能力を、2027年度にも7000万回以上に高める。国内の製薬企業が実用化するワクチンの受託生産などを想定している。感染症の世界的流行(パンデミック)の発生事などは「メッセンジャーRNA(mRNA)」ワクチンの生産にも対応する。国内最大級のバイオ医薬品の生産拠点にしたい考えだ。国内の生産体制を強化すれば、ウイルスが変異した際などにも安定供給がしやすくなる。延べ床面積が約1万6000平方メートルの新工場棟を24年4月に着工し、27年6月をメドに完成させる。新棟では27年度中にも米ファイザーのコロナワクチン換算で年間約4300万回分の生産能力を確保する。需要に応じて将来的に生産設備を追加して能力を上積みすることもできる。新棟への投資額は数百億円規模になる見通しで、経済産業省の補助金も活用する。草津市の本社敷地内では現在、20年1月に完成した工場棟で生産設備を増強している。足元の生産能力はコロナワクチン換算で年間1200万回分で、22年度中に年間3000万回分に高める。現在整備中の工場棟の投資額は累計で約300億円を見込んでいる。新棟への投資はこれを上回ることになりそうだ。新棟も合わせて、草津の本社敷地での生産能力は27年度にも年7300万回程度になる。バイオ医薬品工場としては国内最大級になる見通しだ。平常時には遺伝子治療薬の原材料や試薬などを生産する開発製造受託(CDMO)事業を展開する。感染症の世界的流行(パンデミック)が発生するなど有事には「メッセンジャーRNA(mRNA)」ワクチンを生産する。mRNAは新型コロナワクチンで初めて実用化されたが、感染拡大初期には日本には生産設備がなかったため、海外からの輸入に頼った経緯がある。国内で生産能力を確保するために、経済産業省はmRNAワクチン生産拠点の整備費用の補助対象にタカラバイオやAGC、富士フイルムなど7社を選んだ。タカラバイオはmRNAワクチンの生産に必要な酵素を研究機関向けに販売しており、23年度からはmRNA技術を使った医薬品の生産受託も始める予定だ。
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